
コロナの影響で広告減少?
タイでも2020年3月頃からコロナの影響で、飲食店は店内飲食・飲酒禁止、スパや美容サロンも営業禁止、塾などのオンラインのみといった制限が行われたり解除されたりと、広告を出すか出さないか、出すとしたらそのタイミングについて悩んだというお店も多いのではないでしょうか。
コロナの影響で広告費は減少しているのでしょうか?
タイ全体では回復傾向?
ニールセンタイランドの調査によるとタイ国内の2021年1~6月の6か月間の広告費は2020年の同期間と比較して8%増加となったとの事で、広告費自体は回復傾向にあるようです。
広告媒体 | 金額(100万バーツ) | 前年同期比 |
TV | 31,563 | 11% |
デジタル広告 | 4,325 | – |
OOH | 3,104 | 4% |
移動体 | 1,832 | -24% |
映画 | 1,771 | 6% |
ラジオ | 1,576 | -11% |
新聞 | 1,225 | -12% |
ケーブルTVなど | 534 | -32% |
店内広告 | 333 | 7% |
雑誌 | 302 | -17% |
増加しているのは、「TV」「OOH」「映画」「店内広告」となります。
TVは自宅時間が増加したことから増加するのは分かりますが、OOH(屋外広告)・映画・店内広告が増加しているのは少々謎ですね。
減少しているのはバスやタクシーBTSなどの「移動体」・「ラジオ」・「ケーブルテレビ」と「雑誌」・「新聞」などの紙媒体です。バスやBTSは利用者がかなり減少し、運行本数も減少したため広告費が削減されるのは納得ですね。
日本の広告費の傾向は?
日本トレンドリサーチが企業のマーケティング担当などを対象に調査結果を行った結果が発表されていましたのでそちらを見てみます。
2020年度と2021年度の広告予算の変化

株式会社NEXER
上記の通り、2021年の方が減ったという回答が47.5%と約半数の企業の担当者が広告費が減ったと回答しています。広告費が減少した理由としては以下の通りです。
■「2021年のほうが減った」理由
・コロナ禍の影響で新規事業の拡大が難しいため広告予算が減った。(50代・男性)
・新型コロナウィルスによる景気低迷と今後の収束の見込みの不透明さから。(40代・男性)
・売り上げが落ち、広告宣伝費まで、予算がまわらなくなったから。(40代・男性)
・コロナの影響で広告を出しても人が集まらないから。(40代・男性)
・コロナによりクライアントの業績悪化により広告予算が少なくなった。イベントが全部中止になった。(60代・男性)
上記の通り、減少の理由にコロナの影響を上げる担当者の方が多かったようです。
一方で広告費が増加した理由は以下の通りです。
■「2021年のほうが増えた」理由
・2020年度はコロナ禍のため絞ったが、2021年度は回復を期待して増やした。(50代・男性)
・新規分野へ参入したから。(60代・男性)
・コロナ収束後に備えて広告費を増やしたため。(30代・男性)
・コロナ前は営業が多かったのですが、緊急事態宣言により営業が出来なくなり、チラシをFAXしたり広告をいれたりとしているので。(40代・女性)
・コロナ禍で暇にならないよう露出を増やす為。(40代・男性)
2020年度と2021年度の インターネット広告予算の変化

株式会社NEXER
上記の通り、インターネット広告が増加したと回答した数の方が減少したと回答した数を上回っています。広告費全体としては減少した法人が多い物のインターネット広告の費用が増加している法人が多いという事でしょう。
■「2021年のほうが増えた」理由
・消費者がインターネットに接触する機会が当たり前になったから。(30代・女性)
・人流が減ったので、ネットでの閲覧可能な広告をうつようになった。(30代・女性)
・テレワーク等ネット利用をしている人が増えたため。(70代・男性)
・テレワークやWebミーティングなどで、ネットを使った遠隔でのプロモーションは変わらず有用だと思われるため。(50代・男性)
・SNS集客に力を入れているため。(50代・女性)
・自粛ムードにより人の動きが減る中、人目に触れる公共の場に広告を出すよりも個人がいつでも自由に見られるネットの中に広告を出す方が集客を見込めるため。(20代・男性)
インターネットの利用頻度の上昇や、自粛ムードでの大々的な広告を避けるなどの理由からインターネト広告を選択したという意見が多いようです。
■「2021年のほうが減った」理由
・コロナ禍の影響で新規事業の拡張が厳しいため広告に割く予算が減った。(50代・男性)
・利益減少による予算削減。(50代・男性)
・全体的に予算カットが行われた。(40代・男性)
・あまり成果がみられないから。(40代・女性)
インターネット広告も減少したと回答した人は業績悪化による予算削減が原因のようです。
紙媒体からデジタル広告へ
タイの調査でも日本の傾向でも紙媒体の広告は減少していますがこれは広告出稿までの流れが関係していると思います。
紙媒体の広告は広告が出る1~2週間程度前までデータを用意して入稿し、広告が出稿される流れなので2週間先の情勢を予想しながら広告を出稿する必要があるという点と、紙媒体を入手するためには人の流れが活発である必要がありますが、外出自粛で人が家で過ごすようになり広告効果も大幅にさがっています。
一方でデジタル広告は当日、すぐに広告を出すことが可能で、低予算から広告を出すことが出来ます。
また、自宅で過ごす時間が増えるのに伴い、インターネットやSNSを使う時間が増え紙媒体より効率的にターゲットに情報を届ける事が可能になりました。
さいごに
タイでは日系企業が日本語フリーペーパーに広告を出稿していますが、紙媒体なのでかなり影響を受けているのではないでしょうか?
今後はタイでもオンラインメディアやSNS、Google広告などに広告費の比率を増やしていく企業が増加していきそうですね。