
キプロスと北キプロスは、同じ地中海の島に位置しながらも、政治的に分かれた二つの地域です。
この分裂の理由や背景は少し複雑で、日本人にとってはあまり馴染みがない国かもしれませんが、この2つの国は興味深い歴史と文化を持つ地域で、旅行先としても魅力的です。
今回はそんなキプロスと北キプロスに関してご紹介いたします。
どちらか片方を旅行する方はもちろん、両方を旅行する方も是非チェックしてみてください。
キプロスとは?

キプロス共和国は、地中海の東部に位置する島国で、ギリシャとトルコの間にあります。
面積は約9,200平方キロメートルで、地中海では第三の大きさを誇ります。南キプロスは、公式に「キプロス共和国」として知られ、国際的に広く認知されています。首都はニコシアで、ここは南北キプロスにまたがる唯一の首都でもあります。
キプロスの歴史と文化
ギリシャ神話のヴィーナス
キプロスは、ギリシャ神話に登場する美の女神アフロディテ(ローマ神話ではヴィーナス)が誕生した場所として有名です。
アフロディテの誕生地とされる「アフロディテの岩」は、多くの観光客が訪れる名所です。
考古学的重要性
キプロスは古代からの歴史を持ち、多くの考古学的遺跡が発掘されています。古代ギリシャやローマの遺跡、ビザンティン時代の教会など、多様な歴史的遺産が点在しています。代表的な遺跡として、パフォスの古代遺跡やサラミスの遺跡があり、世界遺産にも登録されています
北キプロスとは?

北キプロス(キプロス北部トルコ共和国)は、地中海のキプロス島の北部に位置する地域で、面積は約3,355平方キロメートルです。
北キプロスは、1974年のトルコ軍の介入後に実効支配を始め、現在もトルコ以外の国々には正式に認められていない国です。首都はニコシアの北部であるレフコシャです。
北キプロスの歴史と文化
歴史的な背景
北キプロスは、1974年のトルコ軍の介入により、南北キプロスの分裂が始まりました。この背景には、キプロス島内の民族的・政治的対立があります。南側はギリシャ系キプロス人が多く、北側はトルコ系キプロス人が主に住んでいます。
自然と観光
北キプロスは、キレニア(Girne)やファマグスタ(Gazimağusa)などの美しい港町と古代遺跡が魅力です。美しいビーチや歴史的な城、古い街並みが観光客を惹きつけています。特に、キレニアの城やファマグスタの古代遺跡は、多くの旅行者に人気があります
分裂の背景と現在

キプロス島の分裂は、1960年の独立後、民族的な対立が原因で深刻化しました。
南部のギリシャ系住民と北部のトルコ系住民との間で対立が激化し、1974年にはトルコの軍事介入が行われ、その結果として現在の北キプロスと南キプロスに分かれました。この歴史的な背景は、今もなお両地域の関係に影響を与えています。
旅行者にとって2つの国の魅力を簡単にご紹介!
・キプロス共和国
現代的な都市と歴史的な遺跡が融合した魅力的な観光地で、地中海の美しいビーチや豊かな文化を楽しむことができます。
・北キプロス
観光客にとってはまだあまり知られていない隠れた魅力を持つ地域で、静かで美しい自然や歴史的な名所が多く、ユニークな旅行体験を提供しています。
キプロスと北キプロスは、同じ島にありながら異なる歴史と文化を持ち、どちらも訪れる価値があります。それぞれの地域の独自の魅力があります。せっかく片方の国に行くのであれば両方の国を探索して歴史と美しい自然を楽しむ旅をお勧めします。
北キプロスへの入国時の注意点

北キプロス・トルコ共和国(TRNC)は、トルコ以外の国から正式に承認されていない「未承認国家」です。そのため、入国手続きには特有の注意点があります。
北キプロス入国スタンプとギリシャ入国の関係
北キプロスはトルコ系、南側のキプロス共和国はギリシャ系と民族的に分かれており、長年の対立が続いてきました。現在は50年以上戦闘は起きていないものの、依然として紛争地域とされています。
その影響で、 北キプロスの入国スタンプがあるとギリシャ(およびキプロス共和国)への入国が拒否される可能性があります。
入国スタンプは「別紙」に押してもらおう
北キプロスに入国する際、パスポートに直接スタンプを押されると、今後ギリシャやキプロス共和国に入国できなくなる恐れがあります。そのため、 入国時にはパスポートではなく備え付けの別紙にスタンプを押してもらうよう依頼しましょう。
外国人観光客であっても別紙を用意してくれるわけではありません。 必ず「別紙に押してください」と伝えることが重要です。
ニコシアの国境ゲートでの出入国
キプロス島の首都ニコシアには、北キプロスとキプロス共和国をつなぐ国境ゲートがあります。このゲートを通る場合は、 パスポートを見せるだけで南北を行き来でき、入国スタンプは押されません。 そのため、別紙の入国スタンプを提示する必要もなく、問題なく移動が可能です。
※ トルコのパスポート保持者は、キプロス共和国側に入国する際にビザが必要となるため注意してください。
北キプロス入国時のポイントまとめ
- 北キプロスの入国スタンプがあると、ギリシャ・キプロス共和国への入国が拒否される可能性あり。
- スタンプはパスポートではなく「別紙」に押してもらうように依頼すること。
- ニコシアの国境ゲートを利用すれば、スタンプなしで南北を行き来できる。
未承認国家であり、政治的に複雑な背景を持つ北キプロス。入国の際は、慎重に手続きを進めることが大切です。