
改札の手前で「あ、残高ギリギリかも」と気づいた経験はありませんか。窓口には長い列、ホームには次の電車がもう入ってきている。バンコクでBTSを日常的に使っていると、こういう小さなストレスが地味に積み重なっていきます。
その悩みを一気に軽くしてくれるのが、ラビットカード公式アプリの「My Rabbit」です。NFCに対応したスマートフォンがあれば、カードをスマホの背面にタッチするだけで、残高確認とチャージができます。
ただし、このアプリは「入れればすぐ使える」タイプではありません。外国人には最初に踏むべき手順があり、チャージも「決済して終わり」ではなく、最後にもう一度カードをタッチする工程が必要です。ここを知らないまま始めると、「お金は払ったのに残高が増えない」という不安な状況になりがちです。
この記事では、アプリの基本から初期設定、チャージの流れ、上限や有効期限のルール、トラブル時の対処、そしてアプリを使わない場合の代替手段まで、順を追って整理しました。自分がアプリを使うべきかどうかの判断材料としても読んでいただけます。
My Rabbitアプリはこんな人に向いている

最初に、「自分に必要かどうか」を判断できるよう、向き不向きを整理します。
| タイプ | 向いている人 | 向いていない(窓口や券売機で十分な)人 |
|---|---|---|
| 滞在期間 | 数か月〜長期の在住・留学・長期出張 | 数日〜1週間程度の短期旅行 |
| BTSの利用頻度 | 週に何度も乗る | 数回しか乗らない |
| スマホ | NFC対応機種を使っている | NFC非対応、または機種が不明 |
| 決済手段 | タイ国内の銀行アプリを使える | タイの口座・アプリを持っていない |
| 気質 | 窓口の列や待ち時間を減らしたい | 現金でその場で済ませたい |
特に重要なのは、チャージの決済にタイ国内の銀行アプリ(モバイルバンキング)を使う仕組みだという点です。日本のクレジットカードや日本の銀行口座で、そのまま決済できるとは限りません。
このため、アプリが最も力を発揮するのは、タイに銀行口座を持っている在住者・駐在員だといえます。短期の旅行者は、窓口や券売機で十分というケースも多いでしょう。
ラビットカードとMy Rabbitの基礎知識

ラビットカードとは
ラビットカード(Rabbit Card)は、バンコクのBTSで使えるチャージ式の非接触ICカードです。あらかじめ現金をチャージしておき、改札機にタッチするだけで運賃を支払えます。日本のSuicaやPASMOに近い感覚で使えますが、バンコクの鉄道すべてで共通に使えるわけではありません。たとえばMRTは、BTSとは別の乗車方法を前提に考える必要があります。MRTの乗り方は「MRT利用の基本情報」で解説しています。
BTS自体の使い方や路線の特徴は「BTSの基本情報や利用方法」にまとめているので、初めてバンコクの電車に乗る方は、先にそちらを見ておくとイメージがつかみやすくなります。
My Rabbitでできること
My Rabbitは、ラビットカードの運営会社(Bangkok Smartcard System)が提供する公式アプリです。主な機能は次のとおりです。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 残高確認 | カードをスマホにかざして現在の残高を表示 |
| チャージ(Top Up) | スマホからカードに金額を追加 |
| 利用履歴 | 最近の利用・チャージ履歴を確認 |
| カード登録 | 自分のカードをアカウントに紐付け |
| 本人確認 | 対象者向けのe-KYC機能 |
窓口に行かなくても、自宅・職場・移動中など、思い立った場所で残高を整えられるのが最大の価値です。
対応スマホの条件
公式の案内では、対応OSの目安はiOS 13以上、またはAndroid 8以上で、NFC機能を搭載した機種が対象とされています。ただし、OSの条件を満たしていても、機種や販売地域によってNFCの仕様が異なる場合があります。
特にAndroidは、NFCの有無や、設定でNFCをオンにしているかどうかで動作が変わるため、事前に確認しておきましょう。
まだカードを持っていない人は
アプリを使う以前に、ラビットカード本体が必要です。入手の基本は、BTS各駅の有人窓口(チケットオフィス)で購入する方法です。外国人の場合はパスポートの原本の提示が必要で、費用の目安は、カード代と初回チャージを合わせて200バーツ程度という情報があります(カード代100バーツ+初回チャージ100バーツ)。なお、料金や条件は変更されることがあるため、窓口の表示で確認してください。
日本出発前にオンラインで事前予約して、現地で受け取る方法を用意している旅行サイトもあります。到着後すぐにBTSを使いたい方は、そうしたサービスをチェックしておくのも一案です。
アプリ画面でよく見る英語表記
My Rabbitの画面は英語表示が中心です。あらかじめ主な言葉の意味を知っておくと、操作中に迷いにくくなります。
| 表示 | 意味 |
|---|---|
| Top Up | チャージ(残高を追加する) |
| Tap Rabbit Card | カードをスマホの背面にタッチする |
| Balance | 現在の残高 |
| Recent transactions | 最近の利用・チャージ履歴 |
| Confirm | 内容を確認して進む |
| Top Up Successful | チャージが完了した |
| Card | 登録したカードのメニュー |
「Tap Rabbit Card」の表示が出たら、カードをスマホの背面に重ねて、動かさずに待つという合図だと覚えておけば十分です。
使い始める前に準備しておくもの

アプリを入れる前に、次のものが揃っているかを確認しておくと、途中で止まらずに進められます。
- ラビットカード本体(本人名義で使えるもの)
- パスポート(外国人は本人確認で必要)
- NFC対応のスマートフォン
- タイ国内の銀行アプリ(チャージ決済用)
- 通信環境(登録・決済時にデータ通信が必要)
- バッテリーに余裕のあるスマホ
この中で、後から困りやすいのが4番目の銀行アプリです。タイの銀行アプリは、口座開設や、携帯番号(SIM)と口座の名義の一致が求められる場面があります。
詳しくは「タイでモバイルバンキングを利用するには銀行口座とSIMカードの名義の一致が必須に」と「日本人がタイで銀行口座を作るには?」が参考になります。
アカウント作成からカード登録まで
STEP 1:アプリをインストールする
iPhoneならApp Store、AndroidならGoogle Playで「My Rabbit」を検索してインストールします。提供元がBangkok Smartcard System Company Limitedになっていることを確認してください。似た名前の非公式アプリを間違えて入れないための、最低限のチェックです。
STEP 2:アカウントを作る
アプリの案内に従って、携帯電話番号やメールアドレスなどを入力し、届いた認証コードで認証を済ませます。続けて、ログイン用のPINやパスワードを設定します。画面の文言や手順はアプリの更新で変わることがあるため、基本は画面の案内に従ってください。
STEP 3:本人確認(KYC)を済ませる
タイでは、電子マネーやプリペイド式サービスに本人確認が求められており、ラビットカードも対象です。ここで、タイ人と外国人で扱いが分かれます。
- タイ人:アプリ上のe-KYCで手続きを進められるケースがある
- 外国人:パスポートを持ってBTS駅のチケット窓口で本人確認を行うのが基本と案内されている
つまり、日本人が利用する場合は、アプリの設定より先に、駅の窓口で一度パスポートを見せて本人確認を済ませておくのが確実です。パスポートは原本が求められる場合が多く、画像のコピーでは受け付けてもらえないこともあるため、窓口に行くときは原本を持参しましょう。
STEP 4:カードをアプリに登録する
本人確認が済んだカードを、アプリの登録メニューから紐付けます。カードをスマホの背面に重ね、読み取りが完了するまで動かさずに待てば、カード情報がアプリに表示されます。ここまで終われば、初期設定は完了です。
スマホでチャージする手順|カギは「2回タッチ」
My Rabbitのチャージで一番つまずきやすいのが、カードに金額が書き込まれるのは、決済の「後」という点です。流れを整理すると、次のようになります。
| 順番 | 操作 | 何をしているか |
|---|---|---|
| ① | アプリを開き、Top Upを選ぶ | チャージの手続きを開始 |
| ② | 1回目のタッチ | チャージ対象のカードを特定・確認 |
| ③ | 金額を選ぶ | 100バーツ単位が基本 |
| ④ | 銀行アプリで決済 | お金を支払う(まだカードには入っていない) |
| ⑤ | My Rabbitに戻る | 決済済みの状態でカードの再読み取りを促される |
| ⑥ | 2回目のタッチ | 支払い済みの金額をカードに書き込む |
| ⑦ | 完了画面を確認 | 残高が増えていることを確かめる |
ポイントは、④の決済が終わった時点では、お金はまだカードに入っていないということです。⑥の2回目のタッチが終わって、初めてチャージが完了します。
金額の選び方の目安
チャージは原則として100バーツ単位です。「毎回少しずつ」より、自分の1〜2週間分の移動を目安に、まとめて入れておくほうが、残高不足のストレスは減ります。ただし、上限もあるため、あまり大きな金額を一度に入れようとせず、アプリの表示を見ながら調整してください。
失敗しにくくするコツ
- 決済後は、必ずMy Rabbitに戻って2回目のタッチまで完了させる
- タッチ中は、カードとスマホをずらさず、完了画面が出るまで待つ
- スマホのバッテリーに余裕があるときに行う
- 通信が不安定な場所では、安定したWi-Fiかモバイル通信に切り替えてから始める
残高や履歴を確認する
アプリを開いてカードをタッチすれば、残高と最近の履歴が表示されます。乗車前の確認習慣をつけておくと、改札前で慌てることはほとんどなくなります。
在住者であれば、週に1度、決まった曜日に残高を見るなど、ルーティン化しておくのがおすすめです。
知っておきたい上限と有効期限
チャージの上限
公式FAQの案内(執筆時点)では、通常のラビットカードのアプリ経由チャージには、1日3回まで、1回あたり4,000バーツ以下といった上限が設けられています。また、カードに入れておける残高にも上限があります。ルールは変更される場合があるため、最新の数値はアプリや公式サイトで確認してください。なお、Rabbit Walletなど別のサービスは、通常カードの残高とは条件が異なるので、混同しないよう注意が必要です。
カードと残高の有効期限
ラビットカードにも有効期限があるという情報があります。一般に、カード自体の有効期間は発行から約7年、残高は最後に使った・チャージした日から約2年とされています。
長期間使っていないカードを久しぶりに使おうとしたとき、使えなくなっているケースがあるため、しばらくバンコクに来ていなかった人は、窓口でカードの状態を確認すると安心です。カードを新しいものに交換した事例は「Rabbit Cardを新しくしてみた」でも紹介しています。
トラブル別の対処早見表
| 症状 | 考えられる原因 | まず試すこと |
|---|---|---|
| カードを読み取れない | NFCがオフ/位置がずれている/ケースが邪魔 | NFCをオンにし、ケースを外して、背面の位置を少しずつ変える |
| iPhoneで反応が悪い | 背面上部の位置が合っていない | カードを机に置き、その上にスマホを重ねて動かさない |
| 決済したのに残高が増えない | 2回目のタッチが未完了 | My Rabbitに戻り、再読み取りの案内に従う |
| カードを登録できない | 本人確認が未完了/別アカウントで登録済み | 駅窓口でパスポートによる確認を済ませる |
| チャージ後に残高が更新されない | 通信不安定/表示が古い | カードを再度タッチし、アプリを再起動して確認 |
| 二重に支払ってしまいそう | 決済済みの状態を把握できていない | 追加決済の前に、銀行の履歴とアプリの履歴を確認 |
とくに重要なのは、「残高が増えない」と感じても、焦ってもう一度決済しないことです。決済済みなら、まず再タッチで反映される可能性があります。それでも解決しないときは、取引情報を手元に用意して、公式サポートに問い合わせましょう。
アプリを使わない場合のチャージ手段

NFC非対応のスマホ、タイの銀行アプリがない、短期滞在、という場合でも、チャージの方法はあります。
| 方法 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|
| BTS駅の窓口 | 初めての人、外国人、現金で済ませたい人 | 混雑時は待ち時間が出る |
| BTS駅の券売機 | 窓口に並びたくない人 | 対応状況・操作は駅や機種で異なる |
| 提携の加盟店・端末 | 駅以外で済ませたい人 | 利用可能な場所は変更されることがある |
券売機でのチャージの流れは「BTSの券売機でRabbit Cardをチャージする方法」で、窓口に並ばずに済ませる方法を紹介しています。また、そもそもカードにこだわらないのであれば、「BTSでQRコードで支払う方法」のようなキャッシュレスの選択肢もあります。
シーン別|こんな使い方がおすすめ
- 駐在員・在住者:タイの銀行アプリを使えるなら、アプリでのチャージを軸にするのがベスト。窓口での本人確認だけ最初に済ませておけば、あとは自宅からの運用で済みます
- 留学生・長期出張者:滞在期間が数か月以上なら導入の価値あり。ただし、銀行アプリが使えるかどうかが前提条件になります
- 短期旅行者:基本は窓口か券売機で十分。アプリ登録の手間と見合うかを考えると、無理に導入する必要はありません
- バンコク旅行のリピーター:カードを使い続けるなら、アプリでの残高確認だけでも便利。チャージは窓口と使い分けるのも現実的です
安全に使うための注意点
- 必ず公式アプリをダウンロードし、提供元の表記を確認する
- パスポート情報などの個人情報は、公式の手続き以外で入力しない
- チャージ前後は、銀行アプリの履歴とMy Rabbitの履歴を見比べるクセをつける
- 公共のフリーWi-Fiでの決済は避け、できれば自分の回線を使う
- 金額が大きくなる場合は、一度に入れすぎない
よくある質問(FAQ)

- Q日本で買ったスマホでも使えますか?
- A
NFCに対応し、OSの条件を満たしていれば使える可能性があります。ただし、機種や地域によって条件が異なるため、事前に確認しておきましょう。
- Q日本のクレジットカードで直接チャージできますか?
- A
公式の案内は、提携銀行のモバイルバンキングを使う方式です。日本のカードで直接決済できるとは限りません。
- Q外国人でも利用できますか?
- A
利用できます。ただし、本人確認のため、最初にBTS駅の窓口でパスポートを提示する必要があります。
- Q何回タッチする必要がありますか?
- A
基本は2回です。1回目はカードの確認、2回目は決済済みの金額をカードに書き込むためです。
- Q最低いくらからチャージできますか?
- A
通常は100バーツ単位が基本です。実際に選べる金額は、アプリの表示で確認してください。
- Qアプリは無料ですか?
- A
アプリのダウンロードは無料です。チャージには、実際の入金が必要です。
- Q残高はアプリで確認できますか?
- A
できます。カードを登録したうえで、スマホにかざせば、残高と履歴が確認できます。
- Qチャージが失敗したらどうすればいいですか?
- A
追加決済をする前に、銀行アプリの履歴とアプリの履歴を確認し、カードを再タッチしてください。解決しない場合は、公式サポートに問い合わせましょう。
問い合わせ先と公式情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Rabbit Hotline | 02-617-8383 |
| メール | info@rabbit.co.th |
| LINE公式アカウント | @Rabbitcard |
| 公式サイト | https://rabbit.co.th/ |
| My Rabbit案内ページ | https://rabbit.co.th/getstart-myrabbit |
| 公式FAQ | https://rabbit.co.th/faq-my-rabbit |
電話・LINEの受付時間は、時期や案内によって異なることがあるため、問い合わせる前に公式サイトで最新の情報を確認してください。
「最初の1回」だけ手間をかければ、あとはラクになる
My Rabbitアプリは、バンコクでBTSを頻繁に使う人にとって、窓口の待ち時間を減らしてくれる便利なツールです。ポイントをおさらいすると、次の3つに集約されます。
- 外国人は、最初に駅窓口でパスポートによる本人確認を済ませる
- チャージは「決済して終わり」ではなく、「2回目のタッチ」まで完了させる
- タイの銀行アプリが使えない短期旅行者は、窓口や券売機を使えば十分
最初の設定さえ乗り越えれば、あとは残高確認もチャージもスマホ1つで済みます。
バンコクでの移動を少しでも快適にしたい方は、自分の滞在スタイルに合うかどうかを見極めたうえで、ぜひ活用してみてください。


