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タイの現地採用のリアルな給与事情、タイで現地採用として働くのってどうなの?

現地採用の給与ってどうなの?

タイでの就職を検討する際、多くの人がまず気にするのは給与です。現地での生活コストが日本に比べて低いとはいえ、やはり給与がどの程度になるのかは重要なポイントです。では、2024年の時点での現地採用の求人状況はどうなっていたのでしょうか。その給与事情に迫ってみたいと思います。

駐在員と現地採用の給与構造の違い

タイで働く日本人には大きく分けて「駐在員」と「現地採用」という2つの雇用形態があります。駐在員の場合、母国である日本の企業から派遣され、タイで勤務する形が一般的です。このため、駐在員には以下のような手当が通常支給されることが多いです。

  1. 通常の給与
    日本で受けている給与水準を維持しながら、現地で働くための基本給です。多くの場合、日本の給与体系をそのままタイでも維持し、手当てが載せられるので高額な給与を得る事が出来ます。
  2. 赴任手当
    海外勤務に伴う負担やリスクを補うために支給される手当です。これにより、生活の変化や異国での勤務に伴う追加の費用をカバーすることができます。
  3. 住居手当
    駐在員は高級なコンドミニアムや一戸建てに住むことが一般的で、住居手当はその家賃を企業が負担します。これにより、居住費が全くかからず、生活に余裕を持たせることができます。

このように、駐在員は通常の給与に加えて多くの手当が付くため、非常に高い収入を得ることができます。
一方で、現地採用の場合には「通常の給与」のみが基本となります。住居手当や赴任手当などはほとんどの場合支給されないため、駐在員と比較すると、金銭面での待遇がかなり異なります。そのため、駐在員が享受するような経済的なゆとりを持てない現地採用者も多く、現地の生活コストや生活水準を考慮しながら慎重に予算を立てる必要があります。

現地採用でも給与を上げる方法はある

ただし、現地採用だからといって、必ずしも低収入に甘んじる必要はありません。現地採用であっても、経験を積み、スキルを磨くことで、条件の良い企業に転職するチャンスが増えます。特に、英語やタイ語のスキルを持ち、現地での業務経験を積み重ねていくことで、待遇が向上する可能性は十分にあります。現地企業や外資系企業での実績を積んだ結果、給与が増え、駐在員並みの収入に到達することも夢ではありません。

また、タイ国内では特定のスキルを持つ専門職に対する需要が高まっており、特にIT分野やエンジニアリング、マーケティングなどの職種では、現地採用であっても高額な給与が期待できるケースがあります。これらの分野でキャリアを積むことで、給与面での大幅な改善が見込めます。

企業によっては現地採用者にも住居手当や通勤手当、その他の福利厚生を提供する場合もあるため、雇用契約を結ぶ際にはこれらの点を確認することが重要です。例えば、バンコクなどの都市部では交通渋滞が深刻な問題であり、通勤の負担が大きいため、企業が提供する通勤手当や車の貸与が魅力的なポイントとなることもあります。

現地採用の給与水準に関して

タイでの現地採用の給与水準は、過去10年で大きく改善されてきました。2014年頃の求人を振り返ってみると、給与が低いものが目立ち、さらに「VISA支給なし」や「ワークパーミット(WP)についての記載がない」といった不透明な条件の求人が数多く存在していたのを覚えている方もいるでしょう。こうした求人は、不法就労を前提とする怪しい会社であった可能性も高く、外国人労働者にとってリスクの高いものでした。

しかし、2020年以降のコロナ禍を境に、タイの求人市場には大きな変化が見られました。怪しい会社やビザの不透明な扱いをする企業は撤退した可能性があり、また、以前は行われていた「ビザラン」(観光ビザでタイに入国し、国外に出て再入国を繰り返すことで滞在期間を延長する行為)も、現在では厳しい取り締まりが行われているため、制度を悪用して外国人労働者を雇用していた企業は運営が難しくなったと考えられます。このような背景から、2024年現在のタイの現地採用の求人条件は、2014年頃と比べて大きく改善され、透明性が高まりつつあります。

現地採用の給与水準の現状

タイでの現地採用の給与水準は、過去10年で大きく改善されてきました。
2014年頃の求人を振り返ってみると、給与が低いものが目立ち、さらに「VISA支給なし」や「ワークパーミット(WP)についての記載がない」といった不透明な条件の求人が数多く存在していたのを覚えている方もいるでしょう。こうした求人は、不法就労を前提とする怪しい会社がほとんどでタイで就業する際のリスクでした。

しかし、2020年以降のコロナ禍を境に、タイの求人市場には大きな変化が見られました。
怪しい会社やビザの不透明な扱いをする企業は減少し、以前は行われていた「ビザラン」(観光ビザでタイに入国し、国外に出て再入国を繰り返すことで滞在期間を延長する行為)も、現在では厳しい取り締まりが行われているため、制度を悪用して外国人労働者を雇用していた企業は運営が難しくなったと考えられます。このような背景から、2024年現在のタイの現地採用の求人条件は、2014年頃と比べて大きく改善され、透明性が高まりつつあります。

現地採用給与水準に関して

では、現地採用の給与水準が実際にどの程度まで改善されているのかを見ていきましょう。
一般的に、最も給与が低い職種の一つとして挙げられるのが「日本語のみで勤務可能なコールセンター」です。コールセンター業務は、日本語を話せるだけで雇用されるケースが多いため、他のスキルや経験を必要としないことから、給与水準は比較的低いです。

さらに、コールセンター業務に従事する外国人労働者に対しては、タイ政府が定める外国人労働者の最低賃金である50,000バーツを下回っても問題ないとされており、給与条件はあまり恵まれていません。そのため、スキルや経験を積んでキャリアを積み上げたいと考える人にとっては、コールセンター業務はおすすめできる就職先ではないかもしれません。

一方で、英語を話せる人材、さらに正社員としての勤務経験を持つ人材に対しては、状況はかなり良好です。英語が堪能で、一般的なビジネス経験を持つ人であれば、給与水準は60,000バーツ以上となる求人が見つけやすくなっています。特に、タイの求人市場では、英語力を持ちつつ、オフィスマネージメントやプロジェクト管理などの経験がある人材は需要が高く、70,000バーツ以上の給与を提示する企業も珍しくありません。マネージメント経験やリーダーシップを持つ人材に対しては、さらに高い給与を提示する求人が多く、競争力のある条件での就職が可能です。

転職や就職の際には、給与以外の福利厚生も重要な要素として考慮することが大切です。プロビデントファンド(退職金制度)や社会保険の加入、住居手当や交通費の支給など、総合的な待遇を確認することが、タイでの生活を安定させるポイントとなります。

総じて、2024年現在のタイにおける日本人の現地採用の求人は、10年前と比較して大きく改善され、特にスキルや英語力を持つ人にとっては、魅力的な条件が整っていると言えるでしょう。

タイの所得税に関して

タイで給料を受け取る際、日本と同様に所得税が差し引かれた状態で支給されます。所得税は年間の予想所得に基づいて毎月控除され、年末に確定申告を行うことで、もし多く支払っていれば返金、逆に不足していればその差額を納める必要があります。この仕組みにより、労働者は毎月の支払いを調整しながら税負担を軽減できます。

タイの所得税は累進課税制度を採用しており、年間所得に対して以下の税率が適用されます。

150,000~300,000バーツ: 税率5%
 →月収約25,000THBまでが該当

300,000~500,000バーツ: 税率10%
 →月収約41,500THBまでが該当

500,000~750,000バーツ: 税率15%
 →月収約62,500THBまでが該当

750,000~1,000,000バーツ: 税率20%
 →月収約83,000THBまでが該当

1,000,000~2,000,000バーツ: 税率25%
 →月収約165,500THBまでが該当

2,000,000~5,000,000バーツ: 税率30%
 →月収約416,500THBまでが該当

5,000,000バーツ以上: 税率35%
 →月収約416,500THB以上が該当

これらの税率は年間の所得に応じて累進的に適用されるため、所得が高くなるほど高い税率が適用されます。例えば、年間750,000バーツの所得がある場合、最初の150,000バーツには税金がかからず、残りの所得に対して5%、10%、15%と段階的に税が課されます。

タイでは、配偶者や子供がいる場合に所得税を減らすための控除制度も設けられています。例えば、配偶者控除、児童控除、生命保険控除、さらにプロビデントファンドへの拠出や慈善団体への寄付も所得から控除される対象です。これらの控除を上手に活用することで、課税対象額を減らし、最終的な税負担を軽減することが可能です。

また、タイでは確定申告の際に控除や各種減税措置を申告することで節税効果を得られるため、自身の収入に合った控除制度をしっかり把握しておくことが重要です。プロビデントファンドや退職積立金制度の活用も、長期的な節税対策として役立ちます。

タイの税務制度を理解し、効果的に活用することで現地での生活が一層快適になることでしょう。

タイのプロビデントファンドに関して

現在、タイではプロビデントファンド(Provident Fund)を導入する企業が増加傾向にあり、今後は導入が義務化される可能性もあるとされています。この制度は、日本の確定拠出年金(401K)に似たもので、会社と従業員が毎月一定の額を積み立て、それをファンドが運用する仕組みです。積み立てられた金額は市場で運用され、従業員が退職する際に、元本と運用益を退職金のような形で受け取ることができます。これは老後の資産形成に役立つだけでなく、将来に向けての安心感を提供するものです。

このプロビデントファンドの積立額は、従業員の給与から自動的に天引きされる形で徴収されますが、給与の1%から最大で15%までの範囲で選択が可能です。企業側も従業員の積み立て額と同額を拠出するため、両者が共同で資産形成を進めていく形になります。ファンドによる運用がうまくいけば、将来受け取る金額が増加し、老後の生活費に大きなプラスとなることが期待できます。

転職をする場合でも、転職先の企業がプロビデントファンドを導入している場合は、これまでの積立分をそのまま引き継ぐことができるため、長期的な資産形成が途切れることなく継続できるのも魅力の一つです。このため、転職を考える際には、プロビデントファンドを導入している企業を選ぶことが一つの判断基準となることが多く、実際にこの点を重視している転職者が増えています。

私自身もこのプロビデントファンドに加入しており、資産運用を兼ねた節税効果があるため、非常に有益だと感じています。個別に自分で投資や運用を行うのが面倒だと感じる方にも、このファンドは手軽で効率的な資産運用の手段としておすすめです。毎月の給与から自動的に積み立てが行われるため、特に何かを意識して管理する必要がなく、長期的な視点でコツコツと資産を形成することが可能です。

また、プロビデントファンドには節税効果も期待でき、所得税を抑える手段としても利用できます。加入者は一定の税控除を受けられるため、積み立てながら税負担を軽減できるメリットがあります。こうした点から、プロビデントファンドは単なる退職金のための積立というだけでなく、総合的な資産管理・税対策の一環として活用できるツールです。

タイでの就職や転職の際には、面接時にプロビデントファンドが導入されているかを確認することが大切です。長期的な資産形成を考える上で、プロビデントファンドが整備されている企業に勤めることは将来的な財産形成のサポートとなりますし、今後もその重要性は増していくと考えられます。

タイの社会保険に関して

タイでは外国人であっても、社会保険への加入が義務付けられており、これは給与から自動的に引かれる形となります。給与明細では「SSO(Social Security Office)」という項目で確認できるのが特徴です。タイで働く外国人労働者も、現地のタイ人と同様にこの制度に組み込まれ、一定の保険料を毎月支払う義務があります。

社会保険料は基本的に毎月の給与の5%が保険料として引かれますが、保険料には上限が設けられており、その基準額は15,000バーツです。そのため、給与が15,000バーツ以上の場合は、月々750バーツが社会保険料として差し引かれることになります。たとえそれ以上の高額な給与を得ていたとしても、負担する保険料はこの750バーツが上限となるため、非常にリーズナブルな保険料負担であると言えます。

この社会保険に加入していると、いくつかのメリットが受けられます。主な利点としては、通院・入院の際の医療費がカバーされ、疾病や怪我の診療や投薬が無料になる点が挙げられます。特に病気や怪我での突然の医療費負担が軽減されるのは大きな安心感をもたらします。さらに、出産手当や失業保険、年金制度なども社会保険の一部として提供されており、万が一の時に備えたセーフティネットとして機能しています。

ただし、この保険を利用する際にはいくつかの制約があります。最も注意すべき点は、治療を受けられる病院が指定されているということです。社会保険に加入すると、自動的に提携病院が割り当てられ、その病院でのみ無料の治療が受けられる仕組みです。そのため、自分が普段利用している病院が保険適用外の場合、全額自己負担となる可能性があります。こうした理由から、実際に社会保険を使って治療を受けたことがないという外国人も少なくありません。

タイでは私立病院の医療水準が高く、外国人駐在員や富裕層は保険適用外の私立病院を好む傾向があります。このため、社会保険を使うことなく、私立病院で自己負担で治療を受ける方も多いです。それでも、緊急時や大きな病気の際には、この社会保険が非常に役立つため、利用する機会があるかもしれません。

まずは月に10万バーツを目指す!

タイでのんびりと過ごすことが目的であれば、そこまで高額な収入を求めない人もいるかもしれません。しかし、経済的に安定した生活を送りたい、あるいは将来的に余裕を持って暮らしたいと考えるのであれば、月に10万バーツを稼ぐことが一つの目標となります。この金額はタイでは中流以上の生活水準を維持できるため、ある程度快適で自由な生活が可能です。

年齢や家族構成、生活スタイルによっては、10万バーツ以上の収入が必要になることもありますが、基本的にはこの水準に到達すれば、家賃や生活費、余暇活動、貯金を含めた安定した生活ができるでしょう。また、10万バーツという給料は、タイ国内でのキャリアアップや昇進を目指す上で、一つの大きなステップとなります。

もちろん、ここに到達するためにはスキルの向上が不可欠です。現職での昇進や転職によって、徐々に収入を増やしていく道が一般的です。特にITやエンジニアリング、医療、マーケティングなどの専門職は高い需要があり、こうした分野でのキャリアを積むことで目標に到達する可能性が高まります。

また、タイでは語学スキルも大きな武器になります。英語はもちろん、タイ語を習得することで現地企業や顧客とのコミュニケーションがスムーズに進むため、ビジネスでの成功の鍵となるでしょう。スキルアップや自己投資を行いながら、まずは月10万バーツの収入を目指していきましょう。

現地採用のキャリアパスと将来性

タイで現地採用として働くことは、必ずしも駐在員に劣るキャリアパスというわけではありません。
むしろ、現地での経験を通じて、タイや東南アジア市場の理解を深め、専門性を高めることで、日本や他の国でも高く評価される人材になるチャンスがあります。タイは経済成長を続けており、特にASEAN諸国との連携が強まる中で、地域市場に詳しい人材の需要が高まっています。このため、タイでのキャリアを積むことは将来の国際的なキャリアに繋がる可能性も大きいです。

例えば、現地採用者として一定の経験を積んだ後に、同じ企業内での昇進や、他の企業での駐在員としてのポジションを得ることも十分に可能です。タイでの現地採用経験は、語学力や異文化適応能力、国際的なビジネス経験を身に着ける貴重な機会であり、長期的に見て非常に有益なステップとなるでしょう。

タイでの現地採用の給与は、駐在員と比べると一見厳しい状況にあるかもしれませんが、スキルや経験を積むことで大きなチャンスを掴むことができます。まずは現地採用としてスタートし、その後のキャリアアップや転職を通じて、駐在員並みの収入を得ることも不可能ではありません。長期的な視野を持って、タイでのキャリアを計画することが成功への鍵となるでしょう。