ワット・チェディ・ルアンは、チェンマイ旧市街の中心に位置する歴史ある寺院で、タイ北部を代表する格式高い寺院の一つです。チェンマイのもう一つの名高い寺院であるワット・プラシンと並び、その美しさと歴史的価値から多くの参拝者や観光客が訪れています。
この寺院は、1391年、メンラーイ王朝第7代王であるセーンムアンマー王(1383~1402年)**が、亡き父を偲び建立を命じたと伝えられています。
当時の王が仏教の宇宙観に基づき、都の中心に須弥山(しゅみせん)に見立てた大きな仏塔(チェディ)を建設し、その周囲に方角ごとに寺院を配置することで王国の繁栄を願ったとされています。
ワット・チェディ・ルアンの魅力
チェンマイの旧市街にあるのでアクセスもワット・チェディ・ルアンの魅力をご紹介いたします。
チェンマイ最大の仏塔「チェディ・ルアン」
ワット・チェディ・ルアンの名前にある「ルアン」は、タイ北部の方言で「大きい」を意味します。その名の通り、ここにはチェンマイで最も大きな仏塔(チェディ)がそびえ立ち、圧倒的な存在感を放っています。
仏塔は1481年に完成し、創建当時は高さ約80m、基壇の一辺も約60mに及ぶ巨大な建築物でした。しかし、1545年に発生した大地震により仏塔の上部が崩壊し、長い間そのままの状態が続きました。その後、タイ文化庁によって部分的な修復が行われ、現在の高さは約98m、直径54mとなっています。
崩壊してなお、旧市街の中心に堂々とそびえるこの仏塔は、チェンマイの歴史と王朝の栄華を今に伝える象徴的な存在です。
壮麗なナーガ彫刻とラーンナー建築
ワット・チェディ・ルアンの仏塔周囲には、美しい装飾と細かな彫刻が施されています。特に見逃せないのが、仏塔の基壇部分を囲むように設置されたナーガ(蛇神)の彫刻です。
それぞれの彫刻は5つの頭を持ち、まるで仏塔を守護するかのように力強く配置されています。このような壮麗なナーガの姿は、タイ北部のラーンナー王朝時代の芸術様式を色濃く反映しており、仏塔の荘厳さをさらに引き立てています。
また、寺院内に建つ本堂も必見です。本堂は伝統的なラーンナー建築様式で造られており、重厚な木材を使用した柱や美しい彫刻が見られます。本堂内部には金色に輝く仏像が安置され、参拝者が静かに祈りを捧げる姿が見られます。
エメラルド仏の歴史とワット・チェディ・ルアン
かつてこの仏塔には、現在バンコクのワット・プラケオに安置されている「エメラルド仏(プラ・ケーオ・モーラコット)」が安置されていた歴史があります。
エメラルド仏はタイで最も重要な仏像とされ、その美しさと神聖さからタイ全土の信仰を集めています。
しかし、16世紀に大地震が起きた後、エメラルド仏はチェンマイから移され、最終的にバンコクのワット・プラケオへと遷座しました。現在、ワット・チェディ・ルアンの仏塔にはその代わりとしてレプリカが安置され、当時の歴史を今に伝えています。
夜のワット・チェディ・ルアン
昼間の堂々たる姿も圧巻ですが、ワット・チェディ・ルアンは夜のライトアップも必見です。仏塔や本堂が優しい光に照らされ、日中とは異なる幻想的な雰囲気に包まれます。静寂の中でライトアップされた仏塔を眺めていると、まるでタイ北部の歴史と時間が交錯するような不思議な感覚に浸ることができます。
アクセスと周辺観光
ワット・チェディ・ルアンは、チェンマイ旧市街の中心に位置するため、アクセスも非常に便利です。旧市街の観光スポットを巡る際には必ず立ち寄りたい場所の一つです。
周辺には、格式高いワット・プラシンやチェンマイの伝統文化が残る市場、レストラン、カフェなども点在しており、散策しながらタイ北部特有の穏やかな雰囲気を味わえます。
ワット・チェディ・ルアン 基本情報
名称 | ワット・チェディ・ルアン |
英語 | Wat Chedi Luang |
営業時間 | 08:00~22:00 |
料金 | 無料 |
住所 | 103 Phra Pokklao Road Mueang Chiang Mai, Chiang Mai 50200 |
アクセス | チェンマイ中心部からソンテウ等で約5~15分程度 |
電話 | 053-814-3089 |
チェンマイの歴史を感じる必訪スポット
ワット・チェディ・ルアンは、壮大な仏塔と美しい彫刻、そして歴史的な背景から、チェンマイを訪れるすべての人にとって欠かせない観光スポットです。
チェンマイの中心で、かつて王朝の繁栄を支えた仏教文化とラーンナー王朝の遺産に触れ、その壮麗な建築と静寂の中でタイ北部の歴史の息吹を感じてみてはいかがでしょうか。
きっと、旅の思い出に残る心に響く瞬間を体験できることでしょう。