
バンコクのプロンポン・トンローエリアに住み始めると、必ずと言っていいほどお世話になる乗り物があります。それが「シーロー」です。
タクシーでもトゥクトゥクでもないこの乗り物、初めて見た人は「これは何?」と戸惑うはずです。この記事では、シーローとは何かという基本から、実際の乗り方、料金相場、安全に利用するための注意点まで、スクンビットエリアの生活の足としてまとめて解説します。
シーローとは何か

「シーロー(สี่ล้อ)」はタイ語で「四輪」を意味し、小型トラックの荷台に屋根と長椅子を取り付けて、乗合タクシーとして改造した乗り物のことです。
見た目はソンテウ(乗り合いバン)に似ていますが、シーローは決まったルートを走る路線バスというより、行き先を告げて個別に運んでもらう「乗り合いタクシー」に近い性質を持っています。
特にスクンビット通りの奇数側のソイ(プロンポン〜トンロー周辺)では、BTSの駅から離れた奥まった住宅街まで運んでくれる貴重な交通手段として、住民の生活に深く根付いています。
運転手さんはエリア内の道やコンドミニアム名を熟知していることが多く、住所を細かく説明できなくても「〇〇コンド」と伝えるだけで連れて行ってくれることも珍しくありません。
タクシー・トゥクトゥク・モーターサイとの違い
初めての方向けに、似たような移動手段との違いを整理しておきます。
- タクシー:メーター制、渋滞の影響を受けやすいがドアツードアで移動できる
- トゥクトゥク:観光客向けの相乗り交渉制が多く、料金交渉が前提
- モーターサイ(バイクタクシー):渋滞をすり抜けられる速さが強みだが、荷物が多いと不向き
- シーロー:料金は比較的安く、奇数側ソイの奥まで入ってくれるが、運行エリアが限定的で、複数人との乗り合いが前提になることが多い
「BTSの駅からソイの奥にある自宅まで」といった、タクシーだと運転手に敬遠されがちな短距離・奥地への移動にこそ、シーローの強みが発揮されます。
シーローの乗り場と乗り方

シーローは決まった「拠点」を持って営業していることが多く、各ソイの入り口や、日系スーパーの前などに乗り場があります。プロンポン・トンローエリアでは、フジスーパーの各店舗前が代表的な乗り場として知られています。
乗り場がない場所でも、道を流している(走行中の)シーローに手を挙げれば止まってくれます。向こうから「シーロー?」と声をかけてくれることもあります。
なお、シーローには乗り場ごとに緩やかな縄張りのようなものがあり、他の拠点から来たシーローが、別の拠点のすぐそばで新たに客を拾うことは基本的にできません。断られても、失礼な対応をされたわけではないので安心してください。
乗車から降車までの流れ
- 乗り場、または走行中のシーローに合図をして停める
- 運転手に行き先(コンドミニアム名や交差点名など)を伝える
- 対応可能であれば、そのまま荷台後方から乗り込む(出入口は基本的に後方の1か所のみ)
- 目的地が近づいたら、運転席との仕切り部分の窓をノックするか、バックミラー越しにジェスチャーで知らせる
- 停車したら、後方から降りてその場で運賃を支払う
天井が低いトラックの荷台を利用しているため、乗り降りの際は頭上に注意してください。ベビーカーを畳まずに乗せてくれることもありますが、走行中に動かないよう固定するなど、安全確保は利用者の自己責任になります。
料金相場
シーローの運賃はメーターがなく、距離や慣習によって決まる、ある程度「相場」で成り立っている料金体系です。乗り場によっては簡易的な料金表が掲示されていることもありますが、更新されていないケースもあるため、あくまで目安として捉えてください。
- ソイの中を近距離で移動:20〜30バーツ程度
- ソイの入口からソイの奥・隣接ソイまで:40〜60バーツ程度
- 偶数側(道路の反対側)への移動:同じような距離でも割高になりやすい
- 渋滞時・悪天候時:割増料金を求められることがある
運転手によって10〜20バーツほどの誤差が出ることも珍しくありません。乗り慣れないうちは、近所の人や同じコンドミニアムの住人に大体の相場を聞いておくと安心です。
乗り合いになった場合の料金
シーローは複数人での乗り合いが前提になることが多い乗り物です。同じタイミングで別の目的地に向かう人と乗り合わせることもありますが、料金は乗客ごとに個別払いになるのが基本です。
「2人で同じ目的地まで行くから割引してほしい」という交渉が通ることもありますが、基本的には1人ずつの運賃がかかると考えておきましょう。
運転手は、乗せた客の行き先を見ながら効率の良い順路を独自に判断して周るため、先に乗ったからといって必ずしも先に目的地に着けるとは限りません。
安全に利用するための注意点

- 助手席には乗らない:他に乗客がいない時や雨天時に、運転手から助手席に乗るよう勧められることがありますが、防犯上避けるべきとされています。声をかけられた場合は、別のシーローを利用しましょう。
- 夜間の女性一人での利用は慎重に:比較的治安の良いエリアではあるものの、夜間の一人乗車はタクシーやGrabなど、より安全性の高い手段を優先することをおすすめします。
- 運行エリアは限定的:シーローの営業範囲は基本的にスクンビットエリア周辺に限られます。アソーク通りより西側や、トンロー・エカマイより先などは対応してもらえないことが多いので、遠方への移動にはタクシーやGrabを使いましょう。
- 料金は乗車前に確認する習慣を:明確な提示がない乗り物だからこそ、乗車前や乗車直後に行き先と大まかな料金感を確認しておくと、降車時のトラブルを避けられます。
他の移動手段との使い分け方
住宅街の奥からBTS駅まで、あるいはその逆といった「ラストワンマイル」の移動には、シーローが最も効率的で経済的な選択肢になることが多いです。
一方で、荷物が多い時、夜間の一人での移動、スクンビットエリアの外への移動には、タクシーやGrabのような配車アプリを使うほうが安全かつ確実です。
生活圏内での日常の足としてシーローを使いこなせるようになると、バンコク生活の移動コストはぐっと下がります。まずは近所のフジスーパー前などの乗り場から、気軽に試してみてください。
意外に便利なシーロー
シーローは、タクシーやBTSだけではカバーしきれない「スクンビットの奥地」を結ぶ、住民ならではの移動手段です。
料金相場や乗り方のコツさえ押さえておけば、タイ語が完璧でなくても十分に使いこなせます。
バンコク、特にプロンポン・トンローエリアで新生活をスタートする方は、ぜひ早いうちにシーローに慣れておくことをおすすめします。

