
タイで見る不思議な光景みんな急に止まる
タイで生活を始めたり、旅行で訪れると、いくつかの文化的な驚きがあります。その中でも特に目を引くのが、毎日朝と夕方に街中で人々が急に立ち止まり、直立不動になる光景です。
この習慣は、タイの国歌が流れる時間に関連しています。以下では、この文化的な現象について詳しく解説します。
なぜ急に立ち止まるのか?
タイでは、毎日午前8時と午後6時に国歌が放送されます。この時間になると、タイの街中や公共の場にいる人々は一斉に静止し、直立不動の姿勢で国歌に耳を傾けます。この行動は、タイ国民の国家への忠誠と感謝の気持ちを表すためのものです。
1日2回の国王賛歌
国歌が流れる場面
タイの国歌は以下のような場面で流れます:
・朝と夕方の定時
毎日午前8時と午後6時に、街頭スピーカーや公共施設の音響設備から国歌が流れます。
・映画館やイベント前
タイの映画館では、上映前に必ず国王への敬意を表す映像とともに国歌が流れます。観客はこの間、席を立ち直立不動の姿勢をとります。
・学校や政府施設
タイの多くの学校や政府機関では、毎朝国旗掲揚とともに国歌を歌う儀式が行われています。
タイ国歌の役割と意義
タイ国歌は、単なる音楽ではなく、タイ国民にとって以下のような重要な役割を果たしています:
・国家への尊敬と感謝を示す
国歌に合わせて立ち止まることで、タイ国民は国家や国旗に対する敬意を表します。
・愛国心の育成
タイ国歌の放送は、国民の愛国心を育て、国家への忠誠心を新たにする機会となっています。
・社会の一体感を強化
一斉に立ち止まり国歌を聴く行動は、タイ社会における一体感を象徴する儀式とされています。
外国人としての心得
タイを訪れた外国人にとって、この光景は驚きとともに、タイ文化への深い理解を促すものです。以下のような心得を持つとよいでしょう:
・国歌が流れたら立ち止まる
周囲の人々と同じように、その場で立ち止まり、静かに国歌を聴きましょう。これがタイ社会に対する敬意の表れとなります。
・写真や動画撮影は控える
この時間帯に国歌を聴く人々を撮影する行為は、不適切とみなされることがあります。
・公共の場での行動に注意する
国歌が流れる間に歩き続けたり話をすることは、タイ社会において無礼とされます。

タイにおける国王の神聖な地位と注意事項

タイは王室を非常に敬い、国王を神聖視する文化が根付いています。そのため、タイを訪れる際には、国王や王室に関する話題について十分な理解と注意を持つことが重要です。
以下では、タイにおける国王の地位や不敬罪、そして訪問者として気を付けるべき点について詳しく解説します。
国王の神聖な地位
タイの憲法では、国王について次のように定められています:
「崇敬され神聖な地位にあり、何人も侵すことはできない」。
この憲法の文言に基づき、国王はタイ社会において特別で神聖な存在とされています。タイでは、国王は国家統一の象徴であり、国民の敬愛の対象です。この伝統はタイの歴史を通じて脈々と受け継がれ、現代においてもタイ文化の重要な一部を形成しています。
国民の敬意
タイ国民は国王を深く敬愛しており、国王の誕生日や戴冠記念日には全国的な祝賀行事が行われます。
公共施設や家庭には国王の肖像画が飾られていることが一般的で、街中のポスターや広告にも王室関連のものが多く見られます。
不敬罪について
タイでは、国王や王室に対する侮辱や批判的な発言は、**「不敬罪(Lèse majesté)」**と呼ばれる厳しい法律によって処罰される可能性があります。不敬罪の詳細は以下の通りです:
・対象となる行為
国王、王妃、王太子、その他の王族に対する侮辱、名誉毀損、脅迫行為が該当します。これには口頭での発言、文書、SNS投稿などが含まれます。
・刑罰
不敬罪が認定された場合、最高で15年の懲役刑が科されることがあります。
近年の傾向
表現の自由を尊重する動きが進む中で、不敬罪による逮捕件数は減少傾向にありますが、それでもこの法律は厳格に運用されています。観光客や外国人であっても、タイ国内にいる限り法律が適用されます。
注意が必要な場面
タイの王室についての話題に触れる際には、慎重な姿勢が求められます。以下は具体的な注意点です:
・SNSでの発言
王室や国王に関する否定的なコメントや投稿は避けましょう。タイではインターネット上の発言も不敬罪の対象となる可能性があります。
・タイ語が分からないとは限らない
日本語で発言すれば安全だと思いがちですが、タイ人の中には日本語を理解する人も多くいます。不適切な発言が誤解を招き、周囲のタイ人を怒らせてしまうケースもあります。
公共の場での注意
タイ人の前で王室を批判するような発言をすることは、場合によっては口論やトラブルに発展する恐れがあります。特に大勢のタイ人が集まる場では慎重に行動しましょう。
観光客も気を付けよう
タイ在住の日本人や観光客にとっても、タイの王室文化や不敬罪は注意すべき重要なポイントです。以下の点を心に留めておきましょう:
・軽率な冗談を控える
王室関連の話題はタブーとされているため、冗談でも侮辱的な発言を避けるべきです。
周囲の反応に敏感になる
自分では悪意がないと思っても、タイ人にとっては無礼と受け取られる場合があります。発言や行動を慎重に考えましょう。
タイにおける国王や王室は、国民にとって非常に重要で神聖な存在です。不敬罪の存在やタイ人の敬意の深さを理解し、適切な行動を心掛けることで、トラブルを避けることができます。タイ文化への敬意を持つことは、旅行や生活をより充実したものにするための第一歩です。
