サウジアラビアは中東地域に位置し、独特の文化や宗教的伝統が息づく国です。観光客にとって比較的治安が良いとされていますが、文化や宗教的規範を理解し、基本的な注意を払うことが、安全で楽しい旅行を楽しむために重要です。
今回はそんなサウジアラビア旅行の治安に関するポイントを詳しく解説します。
治安の良さと注意点
サウジアラビアは治安当局の権限が強く、犯罪抑止力が高い国で、旅行者にとっても比較的治安の良い国と言えるでしょう。
外務省の「海外安全ホームページ」では、ほとんどの地域が「レベル1: 十分注意してください」とされています。これは、他の中東諸国と比較して危険度が低いことを示しています。旅行の前には最新情報をしっかり確認しましょう。
観光中に感じる安全性
現地を歩いていても、危険を感じることは少ないと多くの旅行者が報告しています。観光インフラが整備されつつあり、初心者でも比較的安心して旅行できる環境が整っています。
安全なサウジアラビアですが、気を付けるべきポイントもあります。
軽犯罪への注意
他の観光地同様、軽犯罪のリスクはゼロではありません。
例: レストランでの置き引き、バイクによるひったくり、車上荒らしなど。
特に繁華街や観光地では、貴重品の管理を怠らず、人混みではカバンをしっかり持つなどの基本的な注意が必要です。
テロやデモへの警戒
サウジアラビア国内では、過去にイスラム過激派によるテロが発生したことがあります。
標的: モスクや政府関連施設、大型商業施設など。
テロのリスクを避けるために、多くの人が集まる場所やデモが行われている場所には近づかないようにしましょう。
礼拝や集会に注意
特に金曜日(イスラム教の安息日)は、成人男性が礼拝に出向き、人が集まる機会が増えます。礼拝が行われているモスクや、その周辺では規模の大きな集会が行われることがあります。
集会がデモや事件に発展する可能性もあるため、無関係な場所であっても慎重に行動することが大切です。
文化やルールに基づいた安全対策
サウジアラビアを旅行する際には文化やルールもしっかりと意識する事が大切です。
服装の配慮
サウジアラビアはイスラム教の教えに基づいた厳格な文化を持つ国です。
- 女性: アバヤ(ゆったりとした長いローブ)を着用することが推奨されます。
- 肌の露出を控え、ストールを持参することで柔軟に対応できます。
- 観光客の場合、アバヤの着用義務はないものの、地元の文化に配慮することが求められます。
女性の外出
女性が一人で外出する際には、時間帯や場所に気をつける必要があります。
- 昼間の観光地やショッピングモールは比較的安全です。
- 移動には信頼できるタクシーや配車アプリ(例: UberやCareem)を利用すると良いでしょう。
写真撮影の注意
写真撮影に関しては厳しい制限があります。
- 政府施設や王宮関連施設の撮影は禁止されています。
- 許可を得ずに地元の人々を撮影することは避けるべきです。
- トラブルを避けるため、撮影する際には周囲に配慮することが大切です。
安心して旅行するためのポイント
サウジアラビアを旅行する際のポイントをいくつかご紹介いたします。
ツアー利用のメリット
ツアーの利用は、サウジアラビアを安全かつ快適に旅行するための有効な手段です。
- 安全性の向上: ビザの手配や現地での移動、宿泊施設の手配など、旅行に必要な準備をツアーが一括でサポートしてくれるため、スムーズに旅が進みます。
- 現地情報の提供: ツアーでは観光地の詳細な説明や現地事情についてのアドバイスを受けられるため、土地勘のない場所でも安心して観光できます。
事前準備の重要性
サウジアラビアの文化や宗教的規範を事前に学ぶことが、旅行中のトラブルを避けるために重要です。
- 礼拝の時間帯やラマダン中の行動ルール: サウジアラビアでは、イスラム教の礼拝時間に注意が必要です。例えば、メッカでの礼拝の時間や、ラマダン期間中の飲食制限に対する理解が必要です。
- 服装: サウジアラビアでは保守的な服装が推奨されるため、男性も女性も肌の露出を控えた服装を心掛けましょう。
- 女性の移動制限: 女性は公共交通機関を利用する際に、専用車両やガードルールを遵守する必要があります。
観光地でのマナーと注意点
- 宗教施設訪問の際の配慮: メッカやメディナの宗教施設を訪れる際には、礼拝中のマナーや静かにするべき場面を守るよう心掛けましょう。
- 公の場での行動: 公共の場では、過度の親密な行動や対人トラブルを避け、礼儀正しい態度を保つことが求められます。
サウジアラビアは歴史的遺産や独特の文化が魅力的な観光地であり、比較的治安が良い国とされています。ただし、文化的・宗教的背景に基づいた厳格なルールがあるため、それを理解し遵守することが求められます。
サウジアラビアでトラブルに遭った際にどうする?
サウジアラビアで万が一、犯罪の被害に遭った場合は焦らずに落ち着いて手続きを進めて行きましょう。
以下にて犯罪に巻き込まれた際に重要な連絡先などをご紹介いたします。
警察・救急車・消防署
連絡先 | 電話番号 |
---|---|
警察 | 999 |
救急車 | 997 |
消防車 | 998 |
上記の電話番号は緊急時の対応を依頼する際の連絡先となりますので、貴重品の紛失・盗難などでポリスレポートなどが欲しい場合には最寄りの警察署にいきましょう。
在サウジアラビア日本国大使館への相談
万が一、犯罪被害に遭い、さらなるサポートが必要な場合、在サウジアラビア日本国大使館に連絡することができます。日本大使館では、犯罪に遭った際の手続きや支援を行っており、また、被害を受けた日本人に対する領事サービスも提供しています。
・帰国のための渡航書の発給:盗難や紛失によりパスポートが手元にない場合、総領事館にて「帰国のための渡航書」を発行してもらうことができます。この渡航書は日本への一時帰国に限り有効です。申請には、現地警察の「盗難証明書」が必要になるので、必ず警察署で届け出を行いましょう。
・現地情報や助言:必要に応じて、被害後の行動について適切なアドバイスを受けることができます。
在サウジアラビア日本国大使館
・住所:MJPF+HRV, Ibn Wafid, Al Safarat, Riyadh
・電話番号:+966114881100
トラブル時の旅行保険の活用
旅行保険に加入している場合、被害に遭った際に保険会社に連絡することで、補償やサポートを受けることができます。特に盗難、病気、けがの場合は重要です。保険会社の緊急連絡先番号を事前に控え、英語での説明が難しい場合に備えて、日本語対応が可能かどうかも確認しておきましょう。
▶ 保険請求に必要な書類例
・被害届(警察発行の証明書)
・病院の診断書や領収書(医療補償の場合)
・紛失・盗難物のリストや購入証明書
その他の対応策
地元の友人やツアーガイドに相談
慣れない土地でのトラブルは孤立感を招きがちです。可能であれば地元に住む知人やツアーガイドに状況を相談し、現地でのサポートを受けるのもおすすめです。
クレジットカード会社への連絡
クレジットカードやデビットカードを盗まれた場合は、速やかにカード会社へ連絡して使用停止の手続きを行いましょう。盗難保険が付帯している場合、一定額の補償を受けられる場合もあります。
サウジアラビアのビザについて
かつてサウジアラビアへの入国は、商用目的やイスラム教徒の聖地巡礼(ハッジ・ウムラ)に限られ、一般の観光客が入国するのは非常に難しいものでした。
しかし、2019年9月、サウジアラビア政府は大きな転換点を迎え、観光ビザを解禁。これにより、日本人を含む一部外国人が観光目的で入国できるようになり、サウジアラビアの観光が新たな可能性を広げました。
観光ビザを取得すれば、砂漠の壮大な景色、歴史的建造物、世界遺産に登録された数々の遺跡を訪れることが可能になります。このビザ解禁は、サウジアラビア政府が「ビジョン2030」の一環として観光産業の発展を推進する取り組みの一環でもあります。
聖地メディナへの観光客受け入れ解禁(2022年)
さらに、2022年には、イスラム教徒にとって重要な聖地メディナが、観光客を受け入れるようになりました。
従来、この地への訪問はイスラム教徒に限定されていましたが、一定のルールを守れば非イスラム教徒も訪れることが可能に。これにより、サウジアラビアの文化や歴史を深く体験できる場が広がり、多くの観光客にとって魅力的な旅行先となっています。
メディナをはじめ、リヤド、ジェッダ、アルウラなどの都市では、伝統と近代化が融合した独自の文化が楽しめます。特に、世界遺産に登録されたアルウラの「ヘグラ(マダイン・サーレハ)」は、ナバテア王国時代の壮大な遺跡で、訪れる人々を魅了しています。
観光ビザの取得方法
観光ビザはオンラインで簡単に申請することができ、取得プロセスも非常にスムーズです。観光ビザの主な特徴は以下の通りです:
・滞在可能期間:最大90日間(1年間有効なマルチプルビザ)
・対象国:日本を含む40カ国以上
・申請方法:eVisa(オンライン申請)またはサウジアラビア到着時のビザ発給(一部の空港)
また、観光ビザを持っていれば、サウジアラビア国内のほとんどの地域を訪れることが可能です。ただし、一部地域については入域制限がある場合もあるため、事前の確認が必要です。
安全で快適な観光が可能に
サウジアラビア政府は観光客を歓迎するために、インフラの整備や治安の維持に力を入れています。空港や主要都市では英語対応も進んでおり、初めて訪れる人でも安心して旅を楽しむことができます。また、現地の人々はフレンドリーで親切なため、文化交流も期待できるでしょう。
今後のサウジアラビア観光
「ビジョン2030」の目標として、サウジアラビアは観光客数を年間1億人以上に増加させることを目指しています。そのため、新しい観光地の開発やイベントの開催が進められています。たとえば、紅海プロジェクトや新都市ネオムの開発は、今後の観光地として大きな注目を集めています。
サウジアラビアは、これまでの閉鎖的なイメージを覆し、世界に向けてその魅力を発信しています。観光ビザの解禁により、多くの人々がこの神秘的な国の文化、歴史、自然を体験できるようになりました。
海外旅行ではスマホが重要!
海外旅行中、思わぬトラブルに遭遇する可能性は誰にでもあります。パスポートや荷物の紛失、体調不良、道に迷ったりと、さまざまなリスクがつきものです。
そんなときに頼りになるのが、手元にあるスマートフォンです。旅行中の安全対策としてスマホを最大限に活用するためのポイントをご紹介します。
緊急時の連絡手段としてスマホを活用
スマホがあれば、緊急連絡先にすぐに電話やメッセージを送ることができます。事前に以下の情報をスマホに保存しておくと安心です。
・現地の緊急番号(例:香港は「852」、タイは「191」など)
・日本大使館や領事館の連絡先
・旅行保険会社の緊急連絡先
さらに、無料の通話アプリ(例:LINEやWhatsApp)を活用すれば、Wi-Fi環境やモバイル環境さえあれば通信費を抑えつつ迅速な対応が可能です。
GPSで迷子知らず
初めての土地では、迷子になるリスクがあります。スマホの地図アプリ(Google MapsやApple Mapsなど)を活用すれば、現在地の確認や目的地への最短ルートを瞬時に検索可能です。
オフラインマップを事前にダウンロードしておけば、通信環境が悪い場所でも安心です。
翻訳アプリで言葉の壁を克服
海外旅行中、言語が通じず困る場面は意外と多いものです。翻訳アプリ(Google翻訳やiTranslateなど)を使えば、簡単な会話や文章をその場で翻訳できます。
カメラ翻訳機能を使えば、メニューや看板の文字もすぐに理解できるため、トラブルを未然に防げます。
情報収集と共有がスムーズ
現地での観光情報や交通手段、緊急ニュースなど、必要な情報はスマホで簡単に検索できます。また、トラブルが発生した際、家族や友人に状況を共有してアドバイスをもらうことも可能です。
特に、現地の公式アプリやサービスを事前にインストールしておくと便利です。
配車アプリで移動もスムーズ
最近は海外旅行の際の安全な移動手段として、タクシーではなく配車アプリを利用する旅行者が増加しています。目的地にピンを立てて正確に立てられたり、価格もアプリで事前に分かるといメリットもありますが、一番はドライバーの身元が確かという点でしょう。
海外旅行の際には目的地で利用されている配車アプリをチェックしましょう。
モバイル決済で安全な支払いを
最近は観光客でも使えるモバイル決済サービスを取り入れる国も増えてきています。
現金を持ち歩くリスクを減らすため、スマホを使ったモバイル決済(Apple Pay、Google Pay、PayPalなど)を活用しましょう。特にスリや盗難が多い地域では、現金を最小限にしてスマホで支払うのが安全です。
・海外旅行が決まったら通信環境の準備を
スマホは単なる便利なガジェットではなく、海外旅行中の安全を守る強力なツールです。出発前には、現地のSIMカードやeSIMを用意して通信環境を整え、必要なアプリをインストールしておきましょう。スマホを上手に活用すれば、トラブルを最小限に抑えつつ、安心して旅行を楽しむことができます!