バンコクは雨季が終わると、大気汚染が深刻化することで知られています。特に乾季に入ると、空気中の汚染物質が滞留しやすく、AQI(Air Quality Index)の数値が急上昇します。このような状況は、日常生活に直接的な影響を及ぼし、時にはバンコク市内の学校が臨時休校になることも珍しくありません。
特にバンコクのAQIは、100を超えることが頻繁にあり、この数値は「敏感な人々に悪影響を及ぼすレベル」とされています。都市の成長と共に、排気ガスや工場からの汚染が増加し、これが大気汚染の主な原因となっています。
乾季には雨が少なく、汚染物質が洗い流されることがないため、状況がさらに悪化します。結果として、バンコク市民はしばしば健康リスクにさらされることになります。
バンコクの大気汚染の状況を確認する方法
幸いなことに、現代ではスマートフォンやインターネットを活用して、リアルタイムで大気汚染の状況を確認することができます。これにより、外出のタイミングや活動内容を調整し、健康リスクを最小限に抑えることが可能です。ここでは、手軽に大気汚染の状況をチェックできるアプリやサイトをいくつかご紹介します。
スマホアプリ「AirVisual」
「AirVisual」は、スマートフォンで簡単に大気汚染の状態を確認できるアプリです。このアプリはリアルタイムで世界中のAQIを表示してくれるため、バンコクだけでなく、旅行先や他の都市の大気の状況も簡単にチェックできます。アプリ内では地図上に色付きの数値が表示され、緑色が「良好」、赤色に近づくほど「悪い」状態を表します。
アプリは容量も軽く、ダウンロードしておくだけでいつでも大気汚染状況を確認できるため、特に子供や高齢者がいる家庭や、アウトドアの予定がある方には必須のツールと言えます。
スマホですぐに大気汚染の状況を確認できる便利なツールです。アプリの容量も大きくないので入れておいて損はないでしょう。
実際のバンコクの大気汚染状況を確認
実際にAirVisualアプリを使用してバンコクの大気汚染を確認してみると、数値がエリアごとに異なり、AQIが25から150程度の範囲で表示されます。
これらの数値は、エリアや天候により変動しますが、赤色に近いエリアほど「大気の質が悪い」ことを意味しています。特にAQIが100を超えると、敏感な人々(子供、老人、呼吸器系の疾患を持つ人など)は屋外での長時間の活動を避けるべきとされています。
25~150くらいの数字が地図上に表示されています。赤に近ければ近いほど大気の状態が悪いという事です。
他にもWEBサイトでAQIの数値に確認が出来るサイトがあり、年間のデータなども見る事が出来ます。
興味がある方は見て下さい。以下の写真は2019年のバンコクのデータで1月が結構悲惨な状況ですね。
大気汚染の基準値のAQIって何?
AQIとは「Air Quality Index」の略で、日本語では「大気質指数」とも呼ばれる、空気の質を示す指標です。
この指数は0から500の範囲で表示され、数字が低ければ低いほど空気がきれいで、逆に高いほど空気が汚染されていることを示しています。
AQIは一般的に大気中の微小粒子状物質(PM2.5やPM10)、地上レベルのオゾン、一酸化炭素、二酸化硫黄、二酸化窒素などの主要な大気汚染物質の濃度を基に計算され、健康への影響を可視化するために活用されています。
AQIの数値ごとの大まかな基準は次の通りです:
0-50 (Good/良好)
空気は清潔で、健康への影響はほとんどありません。外での活動も安心して行えます。
51-100 (Moderate/普通)
空気の質は許容範囲内で、特に健康に問題はありませんが、極度に敏感な人は少し影響を感じることがあるかもしれません。
101-150 (Unhealthy for Sensitive Groups/敏感な人は注意)
一部の敏感な人、特に喘息や呼吸器系の疾患を持つ人、子ども、老人にとっては、長時間の外での活動を控えたほうがよいでしょう。一般の人々にはまだ大きな影響はありません。
151-200 (Unhealthy/健康に良くない)
空気の質が全体的に悪くなっており、一般の人々にも健康への影響が現れ始めます。特に子どもや高齢者、持病のある人はできるだけ屋内に留まり、激しい運動は控えるべきです。
201-300 (Very Unhealthy/非常に健康に悪い)
空気はかなり汚染されており、全員が健康リスクにさらされます。特に敏感な人にとっては危険な状況です。
301-500 (Hazardous/危険)
空気が極めて危険なレベルに達しており、一般の人々でも短期間で健康に深刻な影響を受ける恐れがあります。外出は極力避け、屋内に留まるべきです。
特にバンコクなどの都市部では、大気汚染のレベルがしばしば101-150の範囲に達することがあり、このレベルは「敏感な人にとっては健康に悪い」範囲です。小さなお子さんや高齢者、呼吸器系や心臓の問題を抱える人は、長時間の屋外活動を避けたほうがよいとされています。
AQIは日々変動するため、外出や運動を計画する際は、特にお子さんと一緒に外で過ごす場合には、定期的にAQIを確認することが推奨されます。スマートフォンの天気アプリや専用のAQIモニタリングアプリでリアルタイムのデータを取得できるので、空気の質を把握して健康を守るための判断材料とすると良いでしょう。
このように、AQIは都市生活における空気質の状況を把握し、日々の行動に役立つ重要な指標ですので、確認できるアプリを入れておくと、外で運動する前にチェックするなど便利につかえます。
PM2.5基本のキと大気汚染対策
大気汚染の主要な原因の一つとして注目されている「PM2.5」について、簡単にその概要と対策をまとめました。PM2.5とは、直径2.5マイクロメートル以下の非常に小さな粒子のことで、人間の髪の毛の直径(約50~70マイクロメートル)に比べて圧倒的に小さく、肉眼では確認できません。
これらの微小な粒子は、自然の現象だけでなく、自動車の排気ガス、工場の煙、建設現場からの粉塵など、人間の活動によっても発生しています。
PM2.5の健康リスク
PM2.5が特に問題視される理由は、その非常に小さなサイズによって、私たちの体内に簡単に侵入できるからです。鼻や喉で十分にフィルタリングされず、肺の奥深く、さらには血流にまで達する可能性があり、以下のような健康リスクを引き起こすことが知られています。
・子供や高齢者への影響
成長中の子供や体力が低下している高齢者は特に影響を受けやすく、PM2.5による健康リスクが高まります。
・呼吸器系への影響
気管支炎や喘息、肺炎の悪化など、呼吸器系に深刻なダメージを与える可能性があります。
・心血管系疾患
長期的にPM2.5にさらされると、心臓病や高血圧、さらには脳卒中などのリスクが増加するとされています。
・免疫系の低下
PM2.5は体内で炎症反応を引き起こすため、免疫力の低下や病気に対する抵抗力の減少をもたらすことがあります。
PM2.5の対策
特に都市部では、大気中に含まれる有害物質の一つとして警戒されています。そんなPM2.5に対抗するために、私たちが日常生活の中でできる対策について解説します。
1. 外出時はPM2.5対応マスクを使用する
大気汚染の原因はPM2.5だけではなく、排気ガスや煙など他の有害物質も含まれますが、特にPM2.5はその小ささゆえに、通常のマスクや布マスクでは防ぐことが難しいです。PM2.5は花粉よりもずっと微細なため、花粉症対策用のマスクでは十分に防げません。
現在、日常生活においてマスクを着用する習慣が普及していますが、せっかくならばPM2.5対策が可能なN95規格のマスクやフィルター付きのマスクに変更するとより効果的です。特に大気汚染がひどい日には、外出時にこうしたマスクを使用することで、健康リスクを最小限に抑えることができます。
2. 空気清浄機を設置する
空気清浄機は大気中の微小粒子や有害物質を除去する効果があり、PM2.5対策としても有効です。特に、近年のコロナウイルス感染拡大の影響で、多くの家庭やオフィスに空気清浄機が導入されましたが、この機器はPM2.5対策にも一役買います。
空気清浄機は、空気中のカビ菌、ウイルス、ハウスダスト、花粉などを除去するだけでなく、PM2.5やさらに小さな有害物質をも取り除く機能が備わっています。屋内の空気を清潔に保ち、特に呼吸器系が弱い人やアレルギーを持つ人にとって、空気清浄機の設置は安心感をもたらします。
小型のものから大部屋用まで、サイズや性能に応じてさまざまな選択肢がありますので、生活環境に応じた空気清浄機の導入を検討すると良いでしょう。
3. 洗濯物を外に干さない
PM2.5は非常に微細な粒子のため、衣類の繊維の隙間に入り込みやすく、目では確認できません。そのため、洗濯物を外に干していると、PM2.5が衣類に付着し、簡単には取り除けないという問題が生じます。
たとえ手で払っても、繊維の内部に入り込んだ微粒子を取り除くことは困難です。そこで、乾燥機を利用して洗濯物を乾かしたり、室内干しをすることをお勧めします。また、どうしても外で干したい場合は、PM2.5の濃度が低い時間帯(例えば早朝や夕方)を選ぶなどの工夫をすることで、PM2.5の影響を軽減することが可能です。
4. 野外での活動に注意
特に運動などを行う際には、野外でのPM2.5濃度を気にすることが重要です。日常的に屋外での活動が少ない人にとっては、それほど影響を感じないかもしれませんが、子供や高齢者、または持病を抱えている人は、PM2.5の高い日に長時間外で過ごすことは避けるべきです。
特に気温が高い日や風が少ない日は、大気中の汚染物質が停滞しやすいため、野外での激しい運動や長時間の外出は控えたほうが良いでしょう。また、外出する際は、スマートフォンや天気アプリでリアルタイムのAQI(大気質指数)を確認することで、PM2.5の濃度を把握し、適切な判断が可能になります。
5. 雨の日の大気改善効果
一見、雨の日はあまり外出したくないと感じるかもしれませんが、実は雨が降ると大気中のPM2.5が洗い流されることがあり、大気汚染が改善されることがあります。
もちろん、雨が降るタイミングや地域にもよりますが、軽度の大気汚染日には雨が大気を浄化する効果をもたらすこともあるので、雨の日も一概に悪いとは言えません。雨が降った後は空気がすっきりとし、屋外での活動にも適した状況になることがあるため、天候の変化にも注目してみると良いでしょう。
さいごに
日々の生活の中で、PM2.5を完全に避けることは難しいですが、上記のような対策を取ることで、リスクを大幅に軽減することが可能です。空気の質に敏感な方や、子ども、高齢者、または持病を抱えている方は特に注意が必要です。適切な対策を取りつつも、あまり神経質にならずに日常を楽しむことが大切です。
意識することで少しでも快適な生活が送れるようになるかもしれません。PM2.5の影響を受けやすい日は、無理をせず、屋内での活動を増やすなど、柔軟に対応することをお勧めします。
外をブラブラした後に、なんとなく喉がイガイガしているように感じることもありますが、気にしすぎるのもストレスの原因となるので、必要な対策を取りつつ、リラックスして過ごしましょう。